賃貸物件を退去する時、多くの人がぶつかる壁があります。
それが「ハウスクリーニング費用ってこんなに高いの!?」問題です。
「自分でも掃除したのに、なぜ業者クリーニングが必要なの?」 「相場っていくらくらい?高すぎる場合はどうすればいい?」
そんな疑問や不安を感じている方に向けて、最新の相場情報や、費用を安くするコツ、トラブルを回避する方法まで、詳しく解説します。
この記事を読めば、退去時のモヤモヤや不安がスッキリ解消し、安心して新生活に踏み出せるはずです。
賃貸物件でのハウスクリーニング費用相場とは?
賃貸退去時に必要なハウスクリーニングとは?
賃貸物件を退去する際、多くの人が経験する「ハウスクリーニング費用」。
これは、次に住む人のために部屋をきれいにするための掃除代です。
とはいえ、「なんでこんなに高いの?」と疑問に思うこともありますよね。
そもそも賃貸契約では、退去時に「原状回復」といって、借りた時の状態に戻して返す必要があります。
この原状回復に含まれる一部として、ハウスクリーニング費用が請求されるのです。
ハウスクリーニングは、床の掃除、窓拭き、キッチンの油汚れ落とし、浴室のカビ取り、トイレ掃除など、部屋全体を専門業者が徹底的にきれいにする作業です。
素人の掃除とは違い、プロの道具と洗剤を使って、見えない汚れまでしっかり落とすのが特徴です。
特にエアコンの内部洗浄や換気扇の分解掃除など、自分では手が届かない部分もクリーニング対象になることがあります。
そのため、「自分でも掃除したのに、なぜクリーニング代が必要なの?」と思う人も多いですが、「プロのレベルで仕上げること」が求められるため、費用が発生するのです。
また、最近では「契約時に退去時クリーニング費用が必須」と記載されているケースも増えています。
こうした物件では、「どんなにきれいに使っていても、必ずクリーニング代を払う」ルールになっていることが多いです。
「汚していないから払わなくていい」というわけにはいかない場合もあるので、契約時にしっかり確認しておくことが大切です。
1R・1K・1DKのハウスクリーニング相場
一人暮らし向けの1R(ワンルーム)、1K、1DKなどの比較的コンパクトな部屋は、ハウスクリーニング費用も抑えめです。
しかし、「思ったより高い」と感じる人も少なくありません。
一般的な相場は以下の通りです。
間取り | 平均費用相場 |
1R・1K | 20,000円〜35,000円 |
1DK | 25,000円〜40,000円 |
費用に幅があるのは、部屋の広さや設備の状態、地域によっても差が出るためです。
例えば、古い物件で油汚れがひどかったり、浴室にカビが生えていた場合は、追加費用が発生するケースもあります。
また、「エアコン清掃代が別途必要」など、項目ごとに料金が上乗せされることもあるので、見積もりの内訳をしっかり確認しましょう。
「20,000円くらいかな」と思っていたら、「エアコンと換気扇も別でプラス15,000円」と言われるケースもあります。
できれば、退去前に「クリーニング費用はどこまで含まれているのか?」を管理会社に問い合わせておくと安心です。
1LDK・2DKのハウスクリーニング相場
二人暮らしや少し広めの物件に住んでいる方が気になるのが、1LDK・2DKのクリーニング費用です。
このクラスになると、費用もやや高くなる傾向があります。
目安としては以下の通りです。
間取り | 平均費用相場 |
1LDK | 35,000円〜50,000円 |
2DK | 40,000円〜60,000円 |
1LDK以上になると、キッチン・リビング・寝室とスペースが増えるため、掃除範囲も広がります。
その分、時間と手間がかかるため、費用も上がるのです。
特に、リビングがフローリングの場合、「ワックス仕上げ込み」で追加料金がかかる場合があります。
また、ファミリータイプの物件は浴室も広く、カビ取りや水垢除去に手間がかかることも多いため、料金が高くなりがちです。
広い部屋だからこそ、「部分的に自分で掃除しておけば安くなるのでは?」と思う人もいますが、多くの場合「部屋全体を業者が仕上げることが前提」です。
「ここは掃除済みだから」と割引になるケースは少ないので注意しましょう。
2LDK・3DK以上の広め物件の相場
ファミリー向けの広い物件になると、クリーニング費用はさらに高くなります。
具体的な相場は以下の通りです。
間取り | 平均費用相場 |
2LDK | 50,000円〜70,000円 |
3DK | 60,000円〜80,000円 |
3LDK | 70,000円〜100,000円 |
部屋数が増えると、窓、収納、キッチン、浴室、トイレなど掃除箇所も倍増します。
特に、子どもがいる家庭では「壁紙の落書き」「床の傷」「お風呂のカビ」など、汚れやダメージが蓄積しやすく、クリーニングだけで済まないケースもあります。
そのため、「壁紙張り替え」「フローリング補修」など別途請求が来ることも珍しくありません。
クリーニング費用だけを見て安心していると、「プラス修繕費で10万円以上」と言われることもあるので注意が必要です。
また、広い物件ほど「ハウスクリーニング費用込み物件」を選んでおくと、退去時の負担が軽減される場合があります。
家賃と合わせて検討しておくのも賢い選択です。
ハウスクリーニング費用に含まれる清掃内容
「ハウスクリーニング費用って、何をしてくれるの?」と疑問に思う人も多いですよね。
実際には以下のような作業が含まれています。
作業箇所 | 内容 |
キッチン | シンク・ガス台・換気扇・収納内部 |
浴室 | カビ取り・水垢除去・排水口清掃 |
トイレ | 便器・床・壁の拭き掃除 |
窓 | ガラス拭き・サッシ清掃 |
床 | 掃除機・水拭き・ワックス仕上げ |
ただし、「エアコン内部洗浄」「ベランダ高圧洗浄」などは別料金になるケースもあるので、見積もり時に確認しておくことが大切です。
退去時に「高い!」と感じる原因は?
クリーニング費用が高額になる理由
賃貸物件を退去する際、「こんなに高いの?」と驚く人が多いハウスクリーニング費用。
なぜそんなに高額になるのでしょうか。
その理由を知っておくと、納得しやすくなります。
まず、プロの業者が徹底的に掃除をするため、人件費がかかります。
一人暮らし用の1Kでも、2〜3時間かけて2名体制で作業するケースも珍しくありません。
広い部屋なら半日以上かかることもあります。
さらに、特殊な洗剤や機材を使って汚れを落とします。
一般家庭では手に入らない強力な洗剤や高圧洗浄機などを使うため、材料費も加算されます。
また、業者によっては、クリーニング後に「仕上げ確認」として別スタッフが再点検するケースもあり、そうした「品質保証」も料金に含まれているのです。
もう一つ大きいのが「業者指定」です。
管理会社や大家さんが契約している特定業者に依頼することがほとんどです。
そのため、「もっと安い業者に頼みたい」と思っても、自分で選べない場合が多いのです。
この「指定業者制度」は、時に相場以上の価格になっていることもあります。
いわゆる「業者と大家の癒着」が疑われるケースもあり、「割高だ」と感じる原因になります。
原状回復費用とクリーニング費用の違い
「原状回復費用」と「ハウスクリーニング費用」は、似ているようで違います。
この違いを知らないと、余計に「高すぎる!」と感じるかもしれません。
原状回復費用とは、借主が壊したり汚したりした部分を修繕して、元の状態に戻すための費用です。
一方、ハウスクリーニング費用は、「通常使用による汚れ」を落とし、次の入居者が気持ちよく住めるようにする掃除代です。
例えば、壁に大きな穴を開けた場合は原状回復費用、日常生活でついた床のホコリや油汚れを掃除するのはクリーニング費用という具合です。
ここを混同すると、「クリーニング代を払ったのに、さらに修繕費も請求された!」と混乱してしまいます。
どこまでがクリーニングで、どこからが修繕かを理解しておきましょう。
敷金でカバーされないケースもある
敷金は「退去時に原状回復費用やクリーニング費用に充てるお金」と思っている人も多いですが、最近では敷金ゼロ物件も増えています。
この場合、当然ながら「クリーニング費用は全額自腹」です。
また、敷金を払っていても、「クリーニング費用+修繕費が敷金を超えた場合」は、不足分を追加で請求されるケースもあります。
例えば、敷金5万円でも、クリーニング費用が4万円、壁紙張り替えで3万円かかれば、2万円足りません。
この場合、追加で2万円支払う必要があります。
敷金だけで「足りるだろう」と油断せず、退去時の見積もりを必ず確認することが大切です。
汚れや破損で追加費用が発生することも
ハウスクリーニング費用は、あくまで「普通の汚れを落とす前提」です。
しかし、「通常以上の汚れ」や「設備の破損」があると、追加料金が発生します。
例えば、以下のようなケースです。
- タバコのヤニで壁紙が黄ばみ、張り替えが必要
- キッチン周りの油汚れがひどく、通常の掃除で落ちない
- 風呂場のカビが根付いてしまい、漂白でも取れない
- ペットによる床の傷や臭いが染みついている
こうした場合、クリーニング費用に加えて、「張り替え」「特殊洗浄」などの追加費用が発生します。
「掃除代込みで5万円くらいだろう」と思っていたら、「修繕費合わせて15万円になった!」というケースも少なくありません。
日頃からこまめに掃除をしておくことが、結果的に退去時の出費を抑えるカギになります。
高額請求に納得いかない場合の対処法
「どう考えても高すぎる!」と思った場合は、泣き寝入りせずに行動しましょう。
まずは、「見積書」を請求し、項目ごとに金額を確認します。
「エアコン清掃 15,000円」など、細かく出してもらうと、「これは必要ない」と指摘できる場合があります。
それでも納得できない場合は、「国土交通省の原状回復ガイドライン」を参考に、「相場より高くないか」をチェックします。
ガイドラインは無料でネットに公開されており、「経年劣化は借主負担ではない」など、基本的なルールがわかります。
さらに、消費生活センターに相談するのも有効です。
「こういう請求をされたが妥当か?」と尋ねると、具体的なアドバイスがもらえます。
最終手段として、「少額訴訟」を検討する人もいます。
数万円〜数十万円程度の請求であれば、簡易裁判所で手続き可能です。
「相場よりも明らかに高額」と判断された場合、減額や返金に至るケースもあります。
高額請求には焦らず、冷静に対応することが大切です。
特に「退去時に立ち会わず、後から高額請求が届いた」という人は要注意。
立ち会い時にしっかり確認しておくことで、「言った・言わない」のトラブルを防げます。
ハウスクリーニング費用を安くする方法
自分で掃除すれば安くなるのか?
退去時にハウスクリーニング費用を請求され、「自分で掃除すれば安くなるのでは?」と考える人も多いでしょう。
しかし、現実は少し違います。
最近の賃貸契約では、「退去時に専門業者によるクリーニング必須」と定められているケースがほとんどです。
この場合、自分でどれだけきれいに掃除しても、「クリーニング費用は免除されない」ことが多いのです。
例えば、床をピカピカに磨いても、プロの視点では「まだ足りない」と判断されます。
また、換気扇やエアコン内部など、自分では手をつけにくい場所もクリーニング対象に含まれているため、個人では限界があります。
それでも、「費用を安くできる可能性がゼロではない」ケースもあります。
それは、「自分で業者を選べる物件」の場合です。
例えば、「クリーニング業者指定なし」となっていれば、自分で相見積もりを取り、安い業者に依頼することが可能です。
さらに、「軽微な汚れしかないので、業者不要」と交渉できるケースもゼロではありません。
しかし、これはかなりレアケースであり、現実的には「ほぼ無理」と考えておいた方が良いでしょう。
つまり、「自分で掃除して安くする」のではなく、「できるだけきれいに使って、追加費用を防ぐ」ことが現実的な対策です。
退去前に必ずやっておきたい掃除ポイント
退去前に自分でできる掃除をしておくことで、「追加費用」を避けることができます。
以下の5つは、特に重要なポイントです。
1. キッチンの油汚れ
ガスコンロ周りや換気扇は、油汚れがこびりつきやすい場所です。
長期間放置すると、業者でも落としにくくなり、「特殊洗浄」扱いで追加費用になることも。
重曹スプレーやセスキ炭酸ソーダを使って、できる限り落としておきましょう。
2. 浴室のカビ
黒カビやピンク汚れは、見た目以上に業者泣かせです。
カビ取り剤を使って事前に除去しておくと、「カビ取り代追加」を避けられます。
3. トイレの黄ばみ・黒ずみ
便器の水たまり部分にこびりついた汚れは、見積もり時にマイナス評価になりがちです。
酸性洗剤を使って、事前にピカピカにしておきましょう。
4. 窓・サッシの砂埃
窓ガラスやサッシに砂埃が溜まっていると、「手間がかかる」と判断されます。
簡単に拭き掃除しておくだけでも、印象は良くなります。
5. 床の傷・汚れ
フローリングの傷やシミは、放置すると「補修費用」として請求されることがあります。
小さな傷なら補修用クレヨンで埋める、大きな傷は目立たないマットを敷くなど、簡単にできる工夫もあります。
「どうせ業者がやるから」と放置せず、できる範囲で掃除しておくことが、無駄な出費を防ぐカギになります。
不要な追加費用を回避する交渉術
退去時に「ちょっと高すぎるな…」と感じた時、黙って払う必要はありません。
実は、意外と交渉次第で安くなるケースもあります。
1. 見積もりの詳細を確認する
まず、必ず「クリーニング費用の内訳」を出してもらいましょう。
例えば、「エアコン洗浄15,000円」「換気扇清掃10,000円」など細かく出してもらうと、無駄な項目が見つかることがあります。
2. 「相場と違う」と伝える
もし相場より明らかに高い場合、「他社だともう少し安いのですが…」と伝えるだけでも、「では5,000円引きます」といった対応をしてくれるケースがあります。
3. 自分で手配できるか確認する
「自分で業者を選んでいいですか?」と聞いてみると、「OKです」となる場合もあります。
その場合、ネットで比較サイトを使って安い業者を探せば、数万円単位で節約できることも。
4. 「軽微な汚れなので最低限で」と依頼
「ほとんど汚していないので、最低限のクリーニングでお願いできますか?」と伝えると、簡易清掃で済むケースもあります。
5. 契約書を盾にする
契約書に「ハウスクリーニング費用は実費負担」と書かれていた場合、「実費とはどこまで含まれますか?」と冷静に確認することで、不要な上乗せを防げます。
強気に出る必要はありませんが、「確認させてください」と冷静に質問する姿勢が、不要な支出を抑える近道です。
地元の安い業者を探すコツ
「自分で業者を選んでいい」と言われた場合、安くて信頼できる業者を探したいですよね。
以下の方法がおすすめです。
1. 「ハウスクリーニング+地域名」で検索
例:「ハウスクリーニング 大阪市」などで検索すると、地元業者が見つかりやすくなります。
2. 口コミサイトや比較サイトを活用
「くらしのマーケット」や「ゼヒトモ」など、実際の利用者レビューを見られるサイトを使うと、質と価格のバランスが良い業者を探せます。
3. 「複数社から相見積もり」を取る
最初に出してもらった業者だけでなく、最低3社程度から見積もりを取ると、「一番安いところ」に依頼できます。
4. 「パック料金」の業者を狙う
「1R・1Kパック25,000円」など、間取りごとの定額プランを用意している業者は、追加料金が出にくく安心です。
5. 作業写真を公開している業者を選ぶ
ホームページで作業実績や写真を載せている業者は、仕上がりも丁寧で信頼できます。
クリーニング費込み物件を選ぶメリット
最近増えている「クリーニング費込み物件」。
これは、退去時にクリーニング費用を別途請求されず、「入居時にまとめて支払う」スタイルです。
メリットは、「退去時のトラブルを避けられること」です。
契約時に費用が確定しているので、「思ったより高かった」と後悔する心配がありません。
また、最初に払ってしまえば、「汚さないように気を遣う必要がない」と感じる人も多いです。
長く住む予定なら、こうした物件を選ぶのも安心材料の一つです。
ハウスクリーニング費用を巡るトラブル事例
「こんなに高いなんて聞いてない!」実例
賃貸物件の退去時、「こんなに高額請求されるとは思わなかった」と驚くケースは後を絶ちません。
例えば、東京都内で1K(25㎡)の部屋を退去したAさんの場合。
契約時に「退去時にクリーニング費用がかかる」と説明はあったものの、「だいたい2〜3万円かな」と軽く考えていました。
しかし、いざ請求書を見てビックリ。
クリーニング代5万円に加え、エアコン洗浄費用1.5万円、ベランダ清掃費用1万円で、合計7.5万円!
「え?こんなに高いの?」と慌てましたが、「契約書に書いてある」の一点張りで、結局泣く泣く支払ったそうです。
このように、「相場より高い」と感じても、契約時に説明されていたと言われると反論しづらいのが現実です。
特に都市部では、クリーニング費用の相場が地方よりも高く、「1Kでも5万円以上」というケースも珍しくありません。
「退去時に払えばいいや」と後回しにせず、契約時に具体的な金額を確認しておくことが大切です。
敷金返還トラブルで裁判沙汰になったケース
ハウスクリーニング費用に関連する敷金トラブルも多く発生しています。
例えば、大阪府で起こったある裁判では、退去時に敷金20万円を預けていたBさんが、原状回復費用とクリーニング費用で全額が使われ、さらに追加で5万円を請求されました。
Bさんは、「普通に暮らしていただけなのに納得できない」と、弁護士に相談。
国土交通省の『原状回復ガイドライン』を元に交渉し、最終的に「通常使用による汚れについては借主負担にはならない」として、一部返還が認められました。
このケースでは、「借主が交渉しなければ、不当な請求にそのまま従わされていた」可能性があります。
ガイドラインは裁判でも参考にされる重要な資料なので、「少しでも納得できない」と感じたら、一度目を通してみると良いでしょう。
自分で掃除したのに費用を取られた例
「自分でピカピカに掃除してから退去したのに、普通にクリーニング代を請求された」という話もよく聞きます。
たとえば、福岡県で退去したCさんは、1DKの部屋を5年間使用。
退去時には床も水回りも念入りに掃除し、「これならクリーニング不要だろう」と自信満々でした。
ところが、退去後に届いた請求書には「クリーニング費用4万円」としっかり記載。
「掃除したのに」とクレームを入れましたが、「契約書に記載されているので」の一点張りで取り合ってもらえず、結局支払うことになりました。
最近は、契約時に「清掃済みでも必ず業者クリーニングを実施する」と明記されている物件が多いため、「掃除したから安くなる」と考えるのは危険です。
無駄な労力にならないよう、契約書をしっかり確認しておきましょう。
退去時の確認不足で損をした話
「立ち会いせずに退去したら、高額請求された」というケースも少なくありません。
北海道に住んでいたDさんは、遠方に引っ越すため、退去立ち会いをせず鍵をポストに返却。
後日、「クリーニング費用6万円、壁紙張り替え費用5万円、エアコン交換費用8万円」の合計19万円の請求が届きました。
「そんなに傷んでいた覚えはない」と思いましたが、すでに部屋は他人に貸し出されており、確認のしようがありません。
写真も撮っていなかったため、「証拠がない」と判断され、そのまま支払うしかなかったそうです。
退去時は必ず立ち会い、自分でも写真を撮っておくことが、後々のトラブル回避につながります。
業者選びを失敗して二度手間になった体験談
「業者は自分で選んでいい」と言われて、安さだけで業者を決めた結果、後悔した人もいます。
東京都内で退去したEさんは、「ネットで最安値!」というハウスクリーニング業者に依頼。
しかし、作業後に大家さんから「掃除が雑すぎる。
やり直してもらうか、別業者でクリーニング代を負担してもらう」と言われました。
安い業者は人手不足や技術不足で仕上がりが雑になるケースもあります。
結局、Eさんは別の業者に依頼し直し、「安さ重視で選んだ結果、2倍以上かかった」と後悔していました。
価格だけでなく、口コミや評判も確認して業者を選ぶことが大切です。
ハウスクリーニング費用で損しないための心得
入居時に写真を撮っておく重要性
賃貸物件に入居したばかりの時期は、新生活のスタートで気分も上がりがちです。
しかし、ここで忘れてはいけないのが「部屋の状態を記録しておく」ことです。
入居時に、部屋の傷や汚れを写真に撮って保存しておくと、退去時のトラブルを未然に防ぐことができます。
「そんな面倒なこと…」と思うかもしれませんが、後々自分を守る「証拠」になります。
例えば、入居時からキッチンの壁に小さなシミがあったとしましょう。
しかし、退去時に「このシミはあなたがつけたもの」と言われたらどうでしょうか?
写真がなければ反論することができず、壁紙の張り替え費用を請求されることもあるのです。
特に注意して撮影しておきたい場所は次の通りです。
撮影しておきたい場所 | 理由 |
床・フローリング | 傷やへこみが後で問題になることが多い |
壁・クロス | 小さな汚れやシミでもトラブルになりやすい |
キッチン周り | 水垢やサビがある場合も証拠に |
浴室 | カビやサビ、ヒビ割れなど |
トイレ | 傷や汚れ、設備不良がないか確認 |
写真を撮ったら、スマホだけでなくクラウド上(GoogleフォトやiCloud)にも保存しておくと安心です。
また、契約時に「すでに汚れがある部分」について、管理会社に伝えておくと、より効果的です。
「こんなことして意味あるの?」と思うかもしれませんが、退去時の思わぬ高額請求を回避するためには、ほんの10分程度の手間が大きな差になります。
契約書をよく読んでおくべき理由
賃貸物件に住む時、多くの人が「契約書」にサインします。
しかし、内容をしっかり読んでいる人は意外と少ないものです。
ハウスクリーニング費用に関しても、「退去時に負担する」と記載されているケースが増えていますが、金額までは明示されていないことも多いです。
この「金額不明」の状態が、後で思わぬ高額請求につながる原因です。
例えば、「クリーニング費用は実費」とだけ書かれていると、業者によって3万円で済む場合もあれば、7万円になることもあります。
また、「エアコン洗浄費用も別途負担」などの追加条項があるケースも少なくありません。
契約時に確認しておきたいポイントは以下の通りです。
確認事項 | 内容 |
クリーニング費用 | 相場(いくらぐらいか)を事前に確認 |
エアコン清掃費用 | 別途かかる場合があるので注意 |
原状回復義務 | 破損や汚損以外は不要、など明確化 |
特記事項 | 「退去時に◯万円支払い」など特別な取り決め |
もし契約書に不明点があれば、その場で必ず確認しましょう。
「後で確認しよう」では手遅れになるケースが多いです。
特に「ハウスクリーニング費用は一律4万円」など、金額が固定されている場合は、覚悟しておく必要があります。
また、契約時に「クリーニング費込み」物件を選ぶという手もあります。
これは、入居時に一括でクリーニング費用を支払い、退去時には追加請求されない仕組みです。
不安な方には安心材料になります。
退去時に立ち会いを必ずする意味
退去時、「立ち会いなんて必要ないだろう」と思ってしまいがちですが、これが後々大きな損につながることがあります。
例えば、立ち会わずに退去し、後日「壁に穴が開いていた」「床が傷だらけだった」と言われ、見積もりを見て驚愕。
20万円以上の修繕費を請求されたケースもあります。
しかし、「本当にその傷、自分がつけたもの?」と疑っても、立ち会っていなければ確認できません。
立ち会い時には、以下の点を意識しましょう。
1. 部屋全体を確認しながら写真を撮る
2. 「この汚れは前からありました」と伝える
3. 納得できない場合はサインしない
4. 後日請求になりそうな箇所は、事前に金額を確認する
また、少しでも疑問に感じたら、「一度保留にして、後日回答します」と伝える勇気も必要です。
その場で慌ててサインすると、「認めたことになる」と解釈されることもあるからです。
立ち会い=自分の身を守る手段。
この意識がトラブル回避につながります。
過剰請求には毅然とした態度で
ハウスクリーニング費用に限らず、賃貸退去時の過剰請求は決して珍しくありません。
例えば、東京都内で「1Rでクリーニング費用10万円」と言われたケースがあります。
この場合、「国土交通省の原状回復ガイドラインでは、1Rは2万円〜3万円程度が相場です」と伝えることで、半額以下になった事例もあります。
具体的な対応手順をまとめると以下の通りです。
行動 | 内容 |
①見積もりを取る | 金額だけでなく内訳を確認 |
②相場を調べる | ネットで「ハウスクリーニング 相場」と検索 |
③ガイドラインを確認 | 国土交通省「原状回復ガイドライン」を活用 |
④冷静に交渉 | 「少し高すぎるように思うのですが…」 |
最初から怒鳴る必要はありません。
冷静に「確認させてください」と伝えるだけで、減額に応じてくれるケースも多いのです。
納得いかない場合は消費生活センターに相談
どうしても納得できない場合は、一人で悩まず第三者に相談するのが賢い選択です。
全国各地にある消費生活センターでは、賃貸退去時のトラブルについても無料で相談に乗ってくれます。
「この費用、妥当なんでしょうか?」と尋ねるだけでも、「それは高すぎますね。こう伝えてみてください」と具体的なアドバイスがもらえます。
【消費者ホットライン】
電話番号:188(いやや!)
また、近年では、無料相談ができる弁護士事務所も増えています。
ネットで「敷金トラブル 無料相談」などで検索すると、気軽に相談できる窓口も見つかります。
「相手はプロだから…」と諦めるのではなく、困ったらすぐに専門機関に相談する。
この姿勢が、不要な出費を防ぐためには不可欠です。
まとめ
賃貸物件の退去時に必要となるハウスクリーニング費用は、決して安いものではありません。
「思ったより高かった!」と後悔する人も少なくないのが現実です。
しかし、相場を知り、事前に備えておくことで、無駄な出費を抑えることは十分可能です。
特に大切なのは次の5点です。
1. 入居時に写真を撮って証拠を残す
2. 契約書をしっかり読み、クリーニング費用の有無や金額を確認する
3. 退去時は必ず立ち会い、納得できるまでサインしない
4. 見積もりが出たら内訳を確認し、相場と照らし合わせて冷静に交渉する
5. 不安を感じたら消費生活センターなど第三者に相談する
これらを意識しておくだけで、「思わぬ高額請求」や「泣き寝入り」といった最悪の事態を回避できます。
普段から部屋をきれいに使うことも大切ですが、「自分を守るための一手間」が、最後にあなたを助けてくれることになるでしょう。
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